まつりの遺伝子
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まつりの遺伝子

へトマトへとまと

開催日

2023年1月15日(日)

開催地

長崎県五島市下崎山町

日本テレビ「まつりの遺伝子」 3月5日放送

「へトマト」みどころ紹介 2023年1月15日 開催

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みどころ

ヘトマトは長崎県五島市の下崎山地区に古くから伝わる豊作豊漁・子孫繁栄・家内安全などを願う小正月の伝統の祭りです。

かつては1月16日に行われていましたが、今は1月の第3日曜日に行われています。

名前の由来については諸説あるそうですが、定説は無いそうです。

 

「時の鉦」の音を合図に、「羽根つき」・「玉せせり」・「綱引き」の順に祭事が行われます。

最後に長さ約3メートルの「大草履(おおぞうり)」が登場して、山城神社へ奉納します。

その道中では、見物している未婚女性を「大草履」の上に乗せ、『ワッショイ、ワッショイ』と胴上げをします。

1987年に国の無形民俗文化財に指定されました。

 

奉納相撲

 

 

 

13時半頃から白浜神社での奉納相撲がスタートします。

神社の境内には立派な土俵があります。

そこに、ふんどし姿の男たちが続々と現れ相撲を取ります。

相撲を取るのは、小学生から大人までの参加など幅広い人たち。

子どもたちは寒さにも負けず、元気に取り組みをします。

この奉納相撲は、祭りの余興の役割をしています。

 

 

時の鉦

 

 

14時半、『カーン・カーン・カーン』という「時の鉦」が、ヘトマトの始まりの合図です。

御幣(ごへい)を捧持(ほうじ)する祭りの仕切り役である山内家を先頭に、総代・隣保班(世話役)・崎山小学校・崎山中学校の校長先生など8名が下崎山地区を巡ります。

 

へトマトの祭りの仕切り役の御幣持ちになって6年目、ご自身は8代目だという山内清一(やまうちせいいち)さんに、それぞれの祭事を解説してもらいました。

 

 

 

(地元の)崎山小学校・中学校では、2016年からへトマトが学校行事の一環となりました。

それから「時の鉦」にも、校長先生たちが同行するようになりました。(山内さん)

 

 

 

 

 

羽根つき

 

 

「時の鉦」を合図に、新婚のお嫁さん2人による羽根つきが行われます。

その年に結婚した女性たちが着物をまとい、それぞれが酒樽の上に乗り、子孫繁栄を祈願して羽根つきを行います。

 

『仕切り役の私が羽根つきをする新婚のお嫁さんのことをそれぞれ紹介して、羽根つきが始まります』と山内さん

 

 

 

酒樽に乗る理由は、低いとお嫁さんが見えないからなんです。

『新婚の○○さんのお嫁さんはこの方ですよ』と、しっかりと地区の皆さんに披露する場なんです。

祭りでは2人のお嫁さんしか披露されません。

だから、この地区では「羽根つき」に参加することがとても名誉なことなんです。

そう話すのは、自身も子どもの頃からへトマトに参加してきたという副総代の野瀬治市(のせじいち)さんです。

 

 

「羽根つき」で使用した羽子板が山内家には2つありました。

山内さんのお母様と奥様が使用した羽子板だそうです。

 

 

 

ヘグラ

 

 

羽根つきが終わると、ふんどし姿の顔や体に「ヘグラ」と呼ばれるススを塗った男たちが登場します。

集落を駆け回り、逃げる子どもやお年寄り、見物客などの顔に容赦なく「ヘグラ」を塗り付け、みんな真っ黒になります。

 

 

かつて五右衛門風呂だった時代に、お酒が入った青年団の人が風呂釜のススを持ってきて付けたのが始まりだと聞いています。

面白半分で始めたことのようです笑(山内さん)

 

 

玉せせり

 

 

みんなが「ヘグラ」で真っ黒になると、縄で巻き取柄(とつか)のついた藁玉を激しく奪い合う「玉せせり」が行われます。

敵の陣地まで大きな藁玉を運びます。

この藁玉を男たちは投げたり蹴ったりと、藁玉は様々なところへ飛んで行きます。

ラグビーのように相手陣地に藁玉を持っていくと勝ちとなります。

 

 

「玉せせり」や「綱引き」は、かつて青年団だけでやっていました。

人口減少もあり1980年代に消防団へ要請をして、それから青年団vs.消防団という構図となりました。

 

 

「玉せせり」の藁玉の形は鯨の目を模しているといわれています。

かつては青年団の中の海側の捕鯨で栄えた白浜地区と山側の大里地区との戦いだったんです。

真剣勝負をして鯨肉の分配を決めていたそうです。

「玉せせり」が終わると、藁玉は鯨の供養も兼ねて海へ流します。

今はこれが伝統行事として受け継がれています。(山内さん)

 

 

綱引き

 

 

青年団と消防団がそれぞれ約20名ずつで3本勝負をします。

この勝ち負けで、豊作と大漁を占います。

 

 

かつては海側の白浜地区と山側の大里地区の戦いだったので、白浜地区が勝てば大漁、大里地区が勝てば豊作ということでした。

今は青年団と消防団が毎回交互にやっています。(山内さん)

 

 

大草履

 

 

 

最後に長さ3メートルの「大草履」が登場し、青年団と消防団の若者たちが担いで山城神社へ奉納します。

その道中、見物の未婚の女性を次々と捕まえてはその上に乗せて何度も胴上げを行います。

 

 

「大草履」を担ぐ道中は200mくらいなんですが、30人くらいの女性を胴上げします。

最近は、『時代が変わった…』と実感することもしばしばあります。

20年くらい前までは、見物している未婚女性を大草履に乗せようとすると、女性は恥ずかしがって「乗りたくない」と逃げ回っていました。

今では「はーい!私、乗りたいです」や「次は私が乗りたいです!」という女性が結構いるんです笑

 

 

 

この全ての祭事が終了するのが16時くらいです。(山内さん)

 

 

山内家の襖絵にはへトマトが書かれています。

開催情報

開催日
2023年1月15日(日)

 

 

開催場所
長崎県五島市下崎山町

 

 

長崎県五島市の下崎山地区に古くから伝わる伝統の祭りへトマト。
「時の鉦」の音を合図に、「羽根つき」・「玉せせり」・「綱引き」の順に祭事が行われます。
最後には長さ約3メートルの「大草履(おおぞうり)」が登場して、山城神社へ奉納します。
その道中では、見物している未婚女性を「大草履」の上に乗せ、『ワッショイ、ワッショイ』と胴上げをします。
1987年に国の無形民俗文化財に指定されました。

 

 

住所
長崎県五島市向町2369-6(山城神社)

 

 

アクセス
飛行機/福江空港(五島つばき空港)から約7km・車で約15分
フェリー/福江港から約6km・車で約12分

アクセス