まつりの遺伝子
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まつりの遺伝子

吉原太刀振よしはらたちふり

開催日

2022年11月2日(水)・3日(木)・23日(水・祝)

開催地

京都府舞鶴市朝代神社・水無月神社ほか

「吉原太刀振」みどころ紹介 2022年11月2日 開催

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みどころ

吉原太刀振(よしはらたちふり)は、京都府舞鶴市にある朝代神社(あさしろじんじゃ)に、4年に1度 奉納される伝統芸能です。

1696年頃から始まったとされ、300年以上の歴史があります。

刀や薙刀(なぎなた)、棒術などを笛太鼓のお囃子に合わせて演じる演武です。

1968年 舞鶴市指定無形民俗文化財となり、1989年には京都府登録無形民俗文化財となりました。

 

 

8つの演目

 

 

 

刀・薙刀・棒術など8演目を、それぞれ2人1組で披露する吉原太刀振。

演目を披露するのは、「祭り子」と呼ばれる6歳から20歳までの地元の男性です。

「祭り子」に選ばれることは“地元の誇り”で、過去には「祭り子に選ばれるとお嫁さんを早くもらえる」という話もあったそうです。

 

 

露払い(つゆはらい)

 

場所を払い清めるという意味があります。

6歳の子ども2人が務める、とても可愛らしい演目です。

 

 

大薙刀(おおなぎなた)

 

長い大薙刀を身体の一部のようにさばく姿、2人がぶつかり合う迫力は見ごたえ十分。

1人が残って演じるのは、敵を探し回っている姿と考えられています。

8演目の中の最終演目で、高校生以上の2人が務めます。

 

 

小薙刀(こなぎなた)

 

リズミカルで軽妙、淀みがなく「蝶のように舞い蜂のように刺す」という表現を想起させます。

この演目は、中学1年生の2人が務めます。

 

 

小太刀(こだち)

 

少年の太刀振です。

当時は10歳になる前から武道に励んでいたそうです。

この演目は、9歳の2人が務めます。

 

 

野太刀(のだち)

 

小太刀よりやや年上の少年が、「肩切り」や「耳突き」と呼ばれる凄まじい技を披露します。

戦国の世の過酷な時代がうかがえます。

この演目は、10歳前後の2人が務めます。

 

 

間抜け(まぬけ)

 

動きの速さが特徴で、一つ一つの技が素早く決められ、様々な手さばきが繰り広げられます。

ヤマ場となる「投げ棒」から「ハゼ釣り」という一連の早技は、必見の価値があります。

この演目は、中学3年生の2人が務めます。

 

 

前の関棒(さきのせきぼう)

 

胸を一突きにする棒術の威力と気迫、その攻撃をいなし、間合いを図りながら切り込む刀の迫力。

「棒突き」・「首切り」・「膝斬り」など、両者ともに相手を打つという演技は、真に迫ったものがあります。

この演目は、中学2年生の2人が務めます。

 

 

後の関棒(あとのせきぼう)

 

間合いを図り激しく切り込む刀と、刀にも勝る棒術の手さばき。

お互いの攻撃をあしらい、「脚斬り」・「裾払い」・「喉突き」などの凄まじい技の応酬。

攻撃から防御、防御から攻撃と目まぐるしく変わる早業は見ものです。

この演目は、高校2年生の2人が務めます。

 

 

 

囃子方(はやしかた)

 

 

 

吉原太刀振に欠かせないのが、勇ましい太鼓と素晴らしい音色の笛の奏者・囃子方です。

8演目の全てで休むことなく太刀振を支えます。

笛には女の子も参加することができ、大人たちと子どもたちが共演します。

 

 

 

由来

吉原地区に受け継がれる太刀振。

その由来は、関ケ原の戦いの前哨戦として1600年にあった田辺城籠城(たなべじょうろうじょう)戦まで遡ります。

田辺城が石田三成軍に攻められた際、吉原の漁師たちが城を守るなどの活躍をしました。

後にその戦いぶりを後世に伝えるべく、武道の型として残されたのが太刀振でした。

 

 

 

師匠と「祭り子」で作り上げる演目

 

 

 

「祭り子」は8月から本番まで毎週、月曜・水曜・金曜の3日間の練習を重ねます。

練習では1演目ごとに、師匠と呼ばれる各演目の経験者が3〜4人付き、指導をします。

8演目16名の「祭り子」と約30名の師匠とで各演目を作り上げます。

 

 

 

師匠を務める野村さんに話を聞きました。

 

昨年まで大学生だったので地元を離れていましたが、就職で帰ってきました。

もともと僕は祖父のすすめで、高校3年生の時に関棒を披露しました。

当時可愛がっていた子が「同じ演目をやりたい」と相談してくれたんです。

その時はまだ小さかった子が、大きくなって、相談してくれたことは本当に嬉しかったです。

それで、「教えてあげたい」という気持ちになり、師匠として参加しました。

僕の家は祖父・父、そして今回からは僕の3代で師匠をやっています。

 

 

 

最終演目「大薙刀」には1人で演武を披露するシーンがあります。

「祭り子」として、その大役を務めるのが高校2年生の鯵本さん。

 

2人での披露でも緊張するのに、1人での演武はプレッシャーもすごくあります。

ですが、見てくれた人が「やっぱり太刀振って良いな」と思ってもらえるように、一生懸命頑張りたいと思っています。

 

 

継承していくために

 

 

 

吉原太刀振保存会の山尾清明会長にも話を聞きました。

 

本来であれば、昨年が朝代神社に奉納する年でした。

コロナ禍ということで出来ませんでした。

ですが、朝代神社からの依頼もあり、今年の披露を決めました。

それで今回は、「祭り子」の衣装の胸当てを新調しました。

ラシャの生地に、細部にわたり手縫いの刺繍が施された胸当てが、京都の老舗・川島織物さんの手により完成しました。

 

 

いまの私たちの大きな課題は、師匠と「祭り子」の確保です。

地域の高齢化が進んでいて、薙刀を振り回したりするような指導は高齢者には身体がついていきません。

若い人にバトンタッチするような形で、指導者(師匠)を募るようにしていますが、高校を卒業してこの地域を離れてしまうなど、なかなか確保も難しい状況です。

 

 

 

昔はこの近辺にも太刀振りはたくさんありました。

でも「祭り子」が集まらないということで、消えていきました。

今日練習している吉原小学校も全校生徒が31名。

舞鶴市に25校ある小学校の中でも1番少人数の学校です。

今後は「祭り子」を担うことのできる地域を広げることや、現在は男の子しかできない吉原太刀振に女の子を起用することなども考えていかないといけないと思っています。

吉原太刀振を通じて、地元を愛する子どもたちが増えて、後の世代にこの伝統芸能を継承していってほしいと思っています。

 

 

 

今年は11月2日・3日だけではなく、11月23日にけいはんなプラザで行われる「伝統文化の夢舞台」でも吉原太刀振を披露します。

多くの人の目に触れる機会を増やし、たくさんの人に知ってもらいたいです。

もっとPRしていくことで、力を貸していただける人が増えてくれるのではないかと思っています。

 

開催情報

開催日
2022年11月2日(水)・3日(木・祝)

 

◆ 当日のスケジュール

11月2日 / 場慣らし(ばならし)
11:30 水無月神社で披露(奉納)
12:30 喜多【山尾保存会会長宅前】で披露(奉納)
13:30 東上・中【吉原小学校下】で披露(奉納)
14:30 東上【日の出湯前】で披露(奉納)
15:30 西吉原【カンシ広場】で披露(奉納)

 

11月3日 / 本日(ほんび)
9:00 朝代神社で披露(奉納)
  ※雨天の場合は西市民プラザにて披露(奉納)
10:30 舞鶴公園で披露
  ※雨天の場合は明倫小学校体育館にて披露
13:00 丹波町・本合自治会長宅前にて披露
14:30 舞鶴港とれとれセンターにて披露
15:40 恵美須神社にて披露
16:40 舞鶴小型運送社にて披露
19:00 吉原小学校にて披露(千秋楽)

 

2022年11月23日(水・祝)
京都府相楽郡精華町(そうらくぐん せいかちょう)けいはんなプラザにて行われる「伝統文化の夢舞台」でも披露されます。

 

 

開催地
京都府舞鶴市朝代神社(あさしろじんじゃ)・水無月神社・けいはんなプラザ ほか

 

 

住所
京都府舞鶴市朝代13(朝代神社)

 

 

アクセス
車/舞鶴若狭自動車道「舞鶴東インター」から約20分
電車/JR西日本舞鶴線・京都丹後鉄道宮舞線 西舞鶴駅から徒歩10分

アクセス