加賀鳶梯子登り
開催日
2023年1月8日(日)開催地
石川県金沢市丸の内 金沢城公園 新丸広場 ※オンラインライブ配信を実施します。日本テレビ「まつりの遺伝子」 12月4日放送
みどころ
勇猛果敢で知られた加賀鳶が、梯子の上で華麗な技の数々を披露する「加賀鳶梯子登り」。
一度梯子に登ったら、休むことなく27種の技が連続して披露され、その統一感ある演技は圧巻です。
演目中、会場に響き渡る「木遣りくずし」の合唱が相まって、加賀鳶の心意気を今に伝えます。
また、「金沢子どもはしご登り教室」を開催するなど、伝統の継承にも力を入れています。
※本年度はコロナ禍等を考慮し、「木遣りくずし」の合唱は行いません。(音源による再生となります。)
梯子上で披露される、アクロバティックな連続技に魅了。 「加賀鳶梯子登り」
長さ6mの梯子が数多く立ち並ぶ中、「加賀鳶梯子登り」はスタートします。
まず最初に演じられるのが、梯子の頂上から周囲を確認する「火の見」の演技。
加賀鳶梯子登りは、火事現場で梯子に登り、高いところから状況を確認して消火活動を助けたのが始まりとされ、江戸の情景を彷彿とさせます。
加賀鳶梯子登りでは、「火の見」に始まり「敬礼」で終わる27種類の演技が連続して行われます。
中には、建物を火から守るシンボルとしても有名で、常に“尾”を反らせた姿勢をとる「しゃちほこ」や、源義経が舟から舟へと身軽に飛び移った技を模した「八艘飛び」など、華麗な演技が次々と繰り広げられます。
高所で繰り広げられる技の数々は、ハラハラドキドキの連続ながら、その力強い演技からは、火消しの矜持が感じとれます。
クライマックスは、「鶯の谷渡り」。
枝から枝へと飛んでいるような曲芸的な技が披露され、観客を魅了します。
最後に「敬礼」をして、加賀鳶梯子登りは終了します。
演技中に唄われているのは、「加賀鳶木遣りくずし」。
元々は、江戸木遣りくずしを転用したもので、その後、加賀鳶にふさわしい歌詞と作曲が施されています。
加賀鳶の心意気を伝える唄声にも注目です。
華麗な演技を下支えする、伝統的な技術の継承。
梯子は、10本の「鳶口(とびぐち)」で支えられています。
江戸時代の火消し現場で用いられた鳶口を巧みに使うことで、梯子をしっかりと安定させることができます。
また、火消しの旗印である「纏(まとい)」は、金沢市のシンボルマーク「梅」を金箔で装飾したものに統一され、行事をきらびやかに演出しています。
加賀鳶の梯子は、真竹で作られ、砂時計のように中心が絞られた独特の形状のもの。
今では、梯子製作の技術を受け継いだ消防団員が、自らの手で制作しています。
伝統的な技術の下支えによって、加賀鳶梯子登りの華麗な演技が継承されています。
加賀鳶の未来を担う子どもたちによる梯子登り。 「金沢子どもはしご登り教室」
加賀鳶の伝統を保存し、次世代へと継承するため、「金沢子どもはしご登り教室」が開催されています。
梯子登りの体験を通じて、その歴史やルーツを学ぶことで、加賀鳶の心意気が未来へと受け継がれていきます。
伝統を繋ぐ人たちの想い
<金沢市第三消防団 団本部 土田正人(つちだまさと)さん>
「加賀鳶梯子登り」とは
加賀鳶梯子登りは、300年以上続く歴史ある伝統です。
金沢市の消防団員である、18歳以上の男性が演技を披露しています。
金沢市には第一消防団に20分団、第二消防団に21分団、第三消防団に8分団あります。
各分団は約20〜35名で構成され、その中でも梯子に登れる演技者は2~5名ほどです。
花形はもちろん、梯子に登る演技者ではありますが、「演技者の命を支える」10本の鳶口も大切な役割を担っています。
演技が始まる前の“梯子を立てる光景”にも、注目してほしいです。
1月の「金沢市消防出初式」では、約40の分団が参加する予定です。
号令を合図に梯子を立て、綺麗に揃って立ち上がる姿は圧巻の光景で、一つの醍醐味ではないかと思います。
大切な相棒「梯子」制作
15年ほど前までは、梯子を作る職人の方が居ました。
ですが、その方も高齢化し作り続けることが難しくなってきました。
そこで、消防団で建築関係の仕事をしている団員を募り、梯子の「製作部」を作って、2〜3年かけて職人の方から継承してもらいました。
そうして、今では自分たちで梯子を作れるようになりました。
「加賀鳶梯子登り」次世代へのバトン
「金沢市消防出初式」や「金沢百万石まつり」などが特に大きな披露の場です。
その他にも金沢市のイベントに呼んでいただいたり、披露する機会は多いかと思います。
ですが、消防団自体が自分の仕事とは別に参加する組織です。
梯子登りは日常の消防団活動に加えて、2週間に1回の練習があり、イベント直前となると更に練習時間が増えます。
そもそも高いところに登れないとできないものなので、人員の確保が一番の課題です。
「梯子登りをやりたいから」と消防団に入ってきてくれる団員も居ますが、現状は梯子登りができそうな団員に声をかけて、演技者として育っていくケースが多いです。
「金沢子どもはしご登り教室」は、始まってから20年ほど経ちます。
小学生の頃に教室に参加した子が消防団に入り、梯子登りを再開してくれる例もあります。
女の子の参加者でも、大人になって消防団に入ってくれて広報活動などを行っている方もいるんですよ。
そういった縁が繋がっていくことが嬉しいですし、「やっていて良かった」と思います。
「加賀鳶梯子登り」の魅力
梯子登りは、自分の仕事や日常生活を送るだけでは経験できないことです。
練習ではみんなが真剣に意見しながら、そして楽しみながら演技を作り上げて行きます。
他ではなかなか得られない、自分を成長させられるものだと思います。
僕は練習を見ている立場ですが、一生懸命なみんなの姿はなんだか涙ぐましいですよ。
2009年には県の無形民俗文化財にも指定されました。
若い世代と一緒に、この梯子登りをこれからも長く継承していきたいと思います。
<初めての「加賀鳶梯子登り」披露 喜多祥弘(きたよしひろ)さん>
「加賀鳶梯子登り」を始めたきっかけ
普段は農協で働きながら、消防団の活動をしています。
消防団に入ったばかりの頃、梯子登りの練習をしていた団員から声をかけてもらい、僕も参加するようになりました。
ちょうど「金沢百万石まつり」で梯子登りを披露する予定だった年に、コロナウイルスの流行でお祭りが中止になってしまいました。
なので1月の「出初式」で、初めて梯子登りを披露します。
初披露への意気込み
ギャラリーもたくさん来ると思うので、緊張しています。
僕は身体が大きいので(187cm)、それを生かし演技を大きく見せたいです。
歴史が長く伝統のある梯子登りを演技できることを、誇りに思います。
小さな子たちが見て、「カッコいい!」と憧れてもらえるような演技を披露したいです。
そして消防団として梯子登りの活動をしていることを知ってもらい、たくさんの人に参加してもらえたら良いなと思います。
<「金沢子どもはしご登り教室」 砂長谷美鳳(すなはせみほう)さん(小学6年生)>
砂長谷さんは、教室に参加する小学生の中で、最も高い梯子に登ることができる“エース”的存在。
「金沢子どもはしご登り教室」に参加したきっかけ
梯子登りは「金沢百万石まつり」で見たことがあって小さい頃から知っていました。
教室には3年前から参加しています。
中学生の姉の部活でコーチをしている金沢市第三消防団副団長の齊藤さんから「やってみないか?」と声をかけてもらいました。
最初は怖かったし、全然上手にできませんでした。
でも実際にやってみると、いろんな演技ができるようになってきて楽しいです。
小はしご、中はしご、大はしごで練習して、それぞれの演技が完璧にできたら、“練習カード”にシールをもらえます!
今では、梯子を登って演技をするのがとても気持ち良いです。
梯子登りの魅力
今年は通っている小学校の文化祭で、梯子登りを披露しました。
みんなに注目されるから緊張しましたが、教室に通っている同じ学校の子と一緒に練習を頑張りました。
友達からは「よくできるね!すごいね」と言われて嬉しかったです。
(教室は小学校までなので)中学生になってもやりたいですが、機会が無くて寂しいです。
残りわずかですが、練習でもカッコ良く演技を披露できるように頑張りたいです。
開催情報
開催日
2023年1月8日(日)(金沢市消防出初式にて)
開催場所
石川県金沢市丸の内 金沢城公園 新丸広場
※オンラインライブ配信を実施します。
・「加賀鳶梯子登り」のライブ配信はこちら↓
金沢市公式Youtubeチャンネル「CityofKanazawa」
https://www.youtube.com/@CityofKanazawa/streams
加賀鳶の心意気が現代によみがえる、「加賀鳶梯子登り」。
勇猛果敢な活動と華麗な装備で知られた加賀鳶は、300年以上の歴史があり、当時の浮世絵や歌舞伎の題材にもなっています。
加賀鳶梯子登りは、火事現場で梯子に登り消火活動を助けたのが始まりとされ、江戸で見せていた梯子登りが金沢で行われるようになったのは、加賀鳶が金沢に呼び寄せられた1869年といわれています。
2009年に県の無形民俗文化財に指定。
住所
石川県金沢市丸の内1-1 (金沢城公園 新丸広場)
アクセス
車 / 北陸自動車道「金沢森本インター」より約20分
電車 / JR北陸新幹線・北陸本線 「金沢駅」よりバス・徒歩で約20分