浅内ナゴメハギ
開催日
2022年12月31日(土)開催地
秋田県能代市浅内地区みどころ
囲炉裏の火にあたってばかりいると股や脛につく火斑(ひだこ)、ナゴメ。
このナゴメを剥ぎ取り、怠け心を戒めるために家々を巡る来訪神行事、「ナゴメハギ」。
浅内地区のナゴメハギでは、鬼面ではなく、山伏神楽系の舞である番楽(ばんがく)の面を被り、家々の災いを祓うと共に、地域の交流を深めています。
伝統行事の担い手は若い衆。 厳粛かつ活気ある「出立祭」
ナゴメハギの一行は、まず浅内神社にて出立祭を執り行います。
無事を祈る杯が交わされ、各々に面が渡されると、いよいよ出立です。
総勢十数名からなるナゴメハギに扮する男性は地区の若手。
伝統行事の継承を若い人材が担っているのが、「浅内ナゴメハギ」の特徴でもあります。
各家からご祝儀をもらう「餅もらい」役の少年を引き連れ、3班に分かれて地区内を巡回します。
災いを祓いながら、地域の一体感を育む。 「ナゴメハギ」の巡回
家々を訪れたナゴメハギは、「うぉー、うぉー」「いぐねぇわらし、いねが~(悪い子、いないか~)泣く子はいねが~」などと大声で叫びながら、家の中を練り歩きます。
かつては、玄関先で鉦をジャンジャン鳴らし、いきなり家の中に押し入っていましたが、現在では、玄関先で許可をもらってから家に上がるなど、礼儀正しい一面も。
時には、「ユーチューブばっかり見でねぇが~」といった叫び声を上げるなど、時代に合わせた対応をしているのも、浅内ナゴメハギの魅力の一つです。
訪問先では祝宴が用意されていることもあり、地元ならではの話に花を咲かせるなど、地域交流の架け橋としても一役買っている行事です。
威嚇の中にも見え隠れする愛嬌が魅力。 「浅内番楽面」
浅内ナゴメハギで使われる面は、「浅内番楽」と呼ばれる山伏神楽系の舞で使用されていた面。
山の神面や女面、爺面などがあり、どことなくユーモラスで親しみやすい表情をしています。
次世代に受け継いでいくため、何年かに一度、新しいものに作り替えられています。
また、ナゴメハギが身につけているケラは、青年会員が藁を持ち寄り、両手・両足・両肩・腰と1人分7枚を人数分、10日間ほどかけて編み込んだもの。
ケラから抜け落ちた藁は、無病健康などのご利益があるとされており、大切に扱われます。
3時間以上かけて50軒ほどで災いを祓ったナゴメハギは、一堂に会すと、面を置き、行事の無事を祝います。
開催情報
開催日
2022年12月31日(土)
開催場所
秋田県能代市浅内地区
ナゴメを剥ぎ取り、怠け心を戒めて家々を巡る、「浅内ナゴメハギ」。
かつては4地区で行われていましたが、現在は浅内地区のみで実施されています。
若い人たちが中心となり、守り伝承されている、地域の架け橋ともいうべき伝統行事です。
1981年に国の記録作成等の措置を講ずべき無形民俗文化財に選択。
住所
秋田県能代市浅内上ノ山7 (浅内神社)
アクセス
車 / 秋田自動車道「能代南インター」より約5分
電車 / JR五能線 「能代駅」よりバス・徒歩で約20分